泣き相撲!日向(ひるが)の八朔祭り

日向の八朔祭りは、9月の第一土日に行われます。初日は準備と太鼓、二日目の午前中には恵比須さんを乗せた舟形の山車を曳き、子供太鼓と成年男子の笛による囃子が日向湖を一周します。午後は青年による相撲が行われた後、化粧まわしをつけた赤ちゃんを力士が抱きかかえ、健やかな発育を願った子供相撲(泣き相撲)が行われます。この泣き相撲は福井県内ではここ日向でしか行われていません。その後、相撲甚句が披露され祭りは幕を閉じます。

子供太鼓は恵比須神社に奉納され相撲は稲荷神社に奉納されます。元々はそれぞれ別の祭りだったともいわれる日向の八朔祭りは二つの神社の祭りとなっています

赤ちゃんの土俵入り

日向の八朔祭りでは、祭りの終盤の赤ちゃんの土俵入りによりクライマックスを迎えます。化粧まわしをまとった祭りの前1年間の間に生まれた幼児(男の子)を、力士(地元青年)が抱えて掛け声とともに空高く差し上げると、赤ちゃんが一斉に泣きだします。泣き相撲といい、日向の八朔祭りの見どころとなっています

赤ちゃんが付ける化粧まわしは昔は親が自分で作っていたということですが、現在では業者に委託しているようです。まわしには、子供の名前が刺しゅうされています。

初日は祭りの準備

日向の八朔祭りは二日にわたって行われます。初日(土曜日)は恵比須神社の清掃や舟形をした曳山車(ひきやま)の飾り、料理などの準備が行われます。また、土俵も青年により作られ、宇波西神社の宮司によりお祓いをしてもらい神聖な土俵が完成します。お祓いの後は、土足、女性の立ち入りが禁じられます。

手作り感満載の恵比須さんと子供太鼓

恵比須さんは手作り感満載です!
恵比須さんは手作り感満載です!

祭り二日目は曳山車と太鼓に参加する青年と子供は、早朝より日向漁村センターに集合し半被に着替え、午前7時頃センター近くの稲荷神社前から恵比須さんを乗せた舟形の曳山と太鼓の行列が出発します。道中は囃子が奏でられます。太鼓の打ち手である子供の家の前、区長宅、祝部(ほおり)宅前などで行列は立ち止まり、子供太鼓が演じられます。村中を一周した後は漁港へ向かい、漁連前の広場で太鼓と囃子が演じられ、子供太鼓は終了します。太鼓の指導は保存会のメンバーが行います。この子供太鼓は恵比寿神社への奉納太鼓とされています。

飛び入りもOK!奉納相撲

二日目の午後になると14時~15時頃より子供~青年による、稲荷神社へ奉納する勝ち抜き相撲が始まります。日向ではこのような神事に女性が参加することは現在でも不可とされており、区長も男性しか選ばれません。なお、土俵は神聖なものであり、何人も土足で踏み込むことは厳禁で、2009年の奉納相撲の際に赤ちゃんの泣き相撲を撮影しようとカメラマンや親御さんが土俵に上がってしまうという事態が発生し、伝統行事が一時中断するという大問題となってしまったそうです。

この相撲は区長さんに頼めば日向以外の人も参加できるようで、我々わがまち自慢委員会を代表してN.N君が参加してくれました。戦果はなんと2勝!

勝ち抜き相撲が終わると化粧まわしをした三役が登場し、いよいよ泣き相撲が始まります。1歳以下の宮参りがすんだ男の赤ちゃんを力士に抱いてもらい、健やかに育つように願うものです。

泣き相撲の後相撲甚句が歌われます。この相撲甚句は何時ごろから伝わるものなのかは定かではありませんが、その歌詞は結構新しい言葉が使われています。伝えるうちに内容を新しいものに変えていったのでしょうか。


↓↓↓祭りの様子の動画は下にあります ぜひご覧ください↓↓↓


相撲甚句

祭りの最後を締めくくるのが、相撲甚句です。

=相撲甚句=(美浜町誌より)

・(ハアー ドスコイドスコイ)

 とかく夫婦というものはヨー ハアーあだやおろかな縁じゃない

 知らぬ二人が結ばれて 三三九度は高砂や

 めでためでたの若松で 伊勢が浜から伊勢の海

 出羽の海にと船出すりゃ 金波銀波の片男波(かたおなみ)

・新婚旅行は宮城野や 朝日山やら二所の関

 三保が関をばはや過ぎて はるかかなたにゃ佐渡が獄

 春日野あたりにマイホーム やがてかわいい二子山

 二人の中には立浪も なくて一生花篭よ

 井筒末まで添えとげる それが夫婦というものか

 いうものよ(ハアー ドスコイドスコイ)

 

現代風のこのような相撲甚句も歌われます。

・美浜町を甚句に呼べばよ (ハアードスコイドスコイ)

 紺碧色の日本海 水面に写す山並みや

 風光明媚な若狭湾 リアスに連なる海岸の

 小波きらめく水晶浜等 白砂続く砂浜は

 海水浴の楽園と 避暑で賑わう人々の

 心も安らぐ夏の夢

・景勝レインボーラインの雄大さ 三方五湖や海岸の

 自然が育むパノラマと 岸辺に映える松並は

 荒波耐え抜く根上がり松と 岸泉庵の四季桜

 園林寺の雨宝童子に 高那弥神社の九重の塔

 竜沢寺の秀吉くす女像や 静けさしみる屏風滝

・悠久に伝わる彌美神社の 優雅な踊り王の舞

 早春の神事水中綱引きは しぶきを挙げる若者の

 勇壮果敢な晴れ姿 ・・・・・

ここに注目!

・昔は祭事は日向青年会が取り仕切っていましたが、会が解散してしまったため、現在では区が取り仕切っているそうです。青年会は平成25年に復活を果たし、今後昔のように祭りを取り仕切っていくことを区民は願っています。

・八朔祭りは、以前は毎年9月2~3日に行われていたそうですが、最近は第一土日に行われるようになりました。

・奉納太鼓は、かつては保育園の年長組の男子、小学6年生の男子だけでそれぞれ1曲ずつ2曲奉納されていましたが、現在では子供の数が減り、保育園の年中~年長組の男女、小学5~6年生の男女で構成されています。

・奉納相撲も現在は地元の青少年のみで取り組みが行われていますが、昔は敦賀市の阿曽(あぞ・現在も相撲と相撲甚句がこの地域では行われている)などから若い衆がやってきて相撲の取り組みが行われていたそうです。

日向八朔祭りフォトギャラリー

▼日向の八朔祭り動画(2013.9.8)